ボタングランプリ

そのひとつが、「日本ボタン大賞」の選定と表彰です。1989年よりスタートし隔年に1回の開催、2018年で20回目を迎えました。
日本釦協会の応募規定に従い、一般の方からも広くデザイン、アイデアなどを公募しております。
受賞作品
Award
第20回 2018日本ボタン大賞 受賞作品
グランプリ(大賞)
-
経済産業大臣賞
株式会社アイリス平井 章弘
“宇宙空間”と”触って柔らかいボタン”をテーマに、スピード感をプラスして表現しました。
特別賞
-
田中智之審査委員長 特別賞
ケイテック株式会社合田 節雄
五輪カラーを市松で編み、東京オリンピックへ弾む心と高まる希望を表現しました。
-
早川雅明審査委員 特別賞
株式会社アイリス海老名 壮一
ハニカム構造をモチーフに繊細なカゴをイメージしました。様々な角度からご覧ください。
-
尾原久永審査委員 特別賞
協業組合太成
手描きの柄にレジンで凹凸をつけ、より立体化させる事によりボタン単体のでのアート性を高めました。
-
田島等審査委員 特別賞
清原株式会社根本 真由美
テープに畝を作成し溝に異色を配置したものを生地に加工しボタンを作成しました。見る方向によって色が変化する釦です。
-
日本釦服飾手芸卸協同組合 連合会特別賞
株式会社日東ボタン小林 光博
金属が持つ輝きと無骨さを共存させたボタンです。金属特有の色合いの変化が特徴的です。
優秀賞
株式会社アイリス塩谷 純司
小サイズ釦というデザイン域の少ない空間で、「蒔絵」の様な配色の釦に仕上げました。
株式会社アイリス高橋 一彦
「不思議の国」へつながるウサギの穴!?未来へ繋がる「タイム・トンネル」!?そんな無限の奥行き感を幾何学模様のスカシで演出しました。
クラウン工業株式会社井上 馨
職人が1本の釦で丹精込めて作ったソフト感の有る組紐に太陽の図柄で着色しました。
仲内株式会社
非常に繊細なプリントがとシルバーラメを用いて花火特有の色目を表現しました。
島田商事株式会社東口 真弓
NEO JAPON ー江戸切子ー 日本伝統工芸の‘江戸切子’をイメージし「日本の技術を世界にアピール!」出来る一品に仕上げました。
ECO賞
一般小野 美奈子
ボタン用木製ディスクに刺繍糸を巻き付け、織りの要領で模様を浮かび上がらせた糸ボタンです。18~19世紀頃のヨーロッパで服飾の為に作られた糸ボタンを研究・製作をしていて、息子のピアノ発表会の為に作ったピアノのボタンです。
トレンド賞
清原株式会社宮園 夕加
一見、繊細な釦に見えますが、キャリーケースにも使用される素をレーザーカッターで切断して作成しているため頑丈です。中にアコヤ真珠を施し、デリケートな美しさと強さを兼ね備えさせた”ギャップ”のある釦に仕上げました。
奨励賞
株式会社アイリス飯塚 亨
英字のデザインの釦は割とありますが、もっと動きのあるような釦にしたかったので、作成しました。
株式会社アイリス塩谷 純司
「焼杉」の独特の風合いと木目の美しさを意識し作成しました。
株式会社アイリス小澤 直樹
白と黒のシンプルな色使いの中でエグリと言う技法を使い表情の豊かな釦を作成しました。
株式会社アイリス早川 隆志
和装に合う様、クールなイメージで仕上げてみました。
株式会社アイリス小澤 範子
繊細なアラベスク柄を透かしで彫刻し、玉虫塗装とミラー効果で奥行きのある釦に仕上げました。斜めからの角度から見る奥行き感が特徴です。
クラウン工業株式会社川本 昇平
黒・白の2色を交互に配置したシンプルな釦に凹凸を加え立体感のあるデザインに仕上げました。
株式会社日東ボタン
中央の膨らんだ形状に合わせて、中央部のみ柄を入れたところが特徴です。原料の一部を木材パルプの代わりにバガスパルプを使用した地球にやさしいECOボタンです。
株式会社日東ボタン滝澤 宏
繊細な柄に、焼き目をつけ、乾いた質感のビンテージなウッド調ボタンを表現しました。
御田釦販売株式会社
薄い貝を切り分けて、アーガイル模様のボタンを作りました。
御田釦販売株式会社
メタルと貝とエポキシ樹脂の3つの異なる光沢で表現したボタンです。
審査員
Panel
田中 智之
デザインルームヒロセ 代表

早川 雅明
成安造形大学 名誉教授

田島 等
上田安子服飾専門学校 校長

尾原 久永
株式会社尾原デザインスタジオ

総評
日本ボタン大賞も20回という節目を迎える事が出来ました。20年の長きに渡りご支援ご協力をいただいた皆様に御礼申し上げます。過去の作品には日本の様々な「技」が小さい釦に集約されて存分に表現された素晴らしい作品が多くありました。
第20回もそれに負けないくらいの力作が揃いました。 オリジナル・カスタマイズというトレンドの流れもあり、オンリーワンのハンドメイドテクニック志向の作品が目を引き上位に入賞しました。 グランプリ作品は、前回から受賞作品に登場している3D手法がさらに進化し、色、形、風合いなど申し分のない作品でした。この作品の柔らかさを是非、直接触れて確かめていただきたい気持ちでした。
審査員特別賞では、組紐の技術で作り上げた根本さんや、編むというハンドメイドの手法を駆使した合田さんの作品は力作です。尾原審査員特別賞を受賞された太成さんの作品は、UVレジンをトグルボタンに何回も重ね塗りして凹凸感を出した、ハンドメイドの究極とでもいえる驚きのものでした。私の特別賞を受賞した合田さんの作品は、2020東京オリンピックを先取りする色・デザインのバランスに優れた作品です。 また、ECO賞の小野さんの作品は、ピアノイメージを刺繍糸で巻いた糸ボタンの素晴らしく、一般の方の作品で驚きました。
審査の際、審査員一同がボタンという小さい形の中に、創造性、デザイン性、匠の技術をまとめた素晴らしい作品達に時間を忘れて無口になり見入ってしまいました。 次回は東京オリッピックの2020年の開催になります。一般の作家さん、ファッション学校生などからも新鮮なアイデアを応募していただいて、ボタンの未来のためにファンの広めていけることを楽しみにしています。 ボタンには夢と想いがたくさん込められています。

審査委員長 田中智之デザインルームヒロセ代表